ゴダールのマリア 完全版 [DVD]
価格: ¥5,040
処女受胎によるキリスト誕生という、聖なる伝説を超大胆に“ゴダール化”したニュービジョン。完全版はゴダールの実生活でのパートナーであったアンヌ=マリー・ミエヴィルの短編『マリーの本』が冒頭に付けられ、本作と二部構成のドラマになっている。
『ゴダールのマリア』は、マリア=マリー(ミリアム・ルーセル)はバスケット部に所属する高校生、恋人のジョセフ(ティエリ・ロード)は変わり者のタクシー運転手、マリアに受胎告知をする天使ガブリエル(フィリップ・ラスコット)は髭顔のオッサンという大胆キャスティング。宗教的な色合いよりも、処女にもかかわらず妊娠してしまったマリーの戸惑いと深い苦悩、強く愛するがゆえマリーの妊娠に不信感を抱き、処女受胎だと知った後もその事実を受け入れられないジョセフの苦悩が鮮やかに描かれていく。苦しさからマリーの同級生のジュリエット(ジュリエット・ビノシュ)とデートするジョセフの前に天使ガブリエルが現れて、彼を平手打ちして叱咤激励するなど、思い切った演出は見もの。母性とエロスを併せ持つマリー役のミリアム・ルーセルの美しさには圧巻だ。
冒頭に併録されている『マリーの本』は、 11歳のマリー(レベッカ・ハンプトン)が両親の度重なる罵り合い、別居に巻き込まれる様をつづった25分の短編。少女期のエキセントリックなあやうさが躍動感あふれる映像で繊細に描かれていく。(茂木直美)