カリガリは、本当にユニークなバンドだった。ビジュアル系と呼ばれるジャンルに括られながらも、80年代ニューウェイブ～ノイズ・ミュージックの要素を感じさせる作風はかなりマニアック＆高品質であり、ふだんはビジュアル系に縁のない音楽ファンからもコアな支持を獲得していた。
   この作品は、無期限活動休止記念として行われた2003年6月22日の日比谷野外音楽堂でのライヴ映像を収録したものだが、バカバカしいほどに装飾されたコスチュームに身を包み、歌謡曲とヘビィロックとファンクとエレクトロニカを自由に行き来しながら観客を扇動する彼らのステージングは、“日本のロックが生み出した異形”とでもいうべき不思議な空気を放っていて、意味もなく惹きつけられてしまう。ライヴ当日の舞台裏を赤裸々に映し出したドキュメント映像も、「こんなことまで見せちゃっていいの？」（青さんのメイク・シーン、とかね）という驚きがいっぱい。（森 朋之）