角皆氏は、
エッセイ集なども書いているそうだが、城山三郎などの企業小説を模すれば内部告発であるゆえ迫力ある文章も書けるはずであり残念でならない。
そして商業主義のなかでアスリートが主体的に活躍しようという困難へ立ち向かう足掛かりになればとも思う。
流星は燃え尽きる前に、煙をのこしてゆく。これを「流星痕」という。「流星痕」は高層を流れる風によって、ゆっくりと流れてきえてゆく。流星本体のような派手さはない。それゆえ消えゆく様を眺めるのはとても切ない。そんな流れ星の残した痕まで描写するように、選手1人1人にまつわる陰と陽を生き生きと描き出している。精緻な心理描写は、自身が選手であった角皆氏にのみゆるされる芸当であろう。選手自身が輝けば輝くほど「流星痕」が大きくなり、またそれが消えてゆく様は、空を眺めてほんものの「流星痕」を眺めるよりも、はかない気持ちになる。