ちょっとした文庫本よりも充実。
★★★★☆
先日発売された、故黒澤明の特集も読みごたえ抜群であったが、今回の「論語」特集も再び素晴らしい構成と内容である。
分量的には雑誌の特集記事としては充実しているし、写真やイラストの豊富さ、寄稿している方々もその世界の重鎮、気鋭ばかり、このあたりは編集センスに感激する。
内容としては孔子の生きた時代背景、孔子とその弟子達の紹介、論語の編纂過程、日本での「論語」の影響(政治利用の視点と、作家や資本家など個々人への波及、の2点で記述)、「論語」ゆかりの史跡紹介、「論語」の代表詩篇の紹介と解題、と至れり尽くせり。
「論語」や孔子についての多くの書籍が世の中に溢れているが、個人的には、本誌をイントロダクションとして、あとは岩波文庫の「論語」そのものに当たれば、理解度も関心度も充分得られると思う。
星1個減らしたのは、現代の成功者にとっての「論語」の影響を部分が、どうしても説教臭く読めてしまって、その人の自慢・PRにしか感じられなかったから。それよりは「論語」や孔子を扱った書籍や映画、ドラマなどの紹介などにしたほうがよかったのではないか、と思ったから。