本作のサウンドは、ヴァン・ヘイレンと『Licensed to Ill』のころのビースティー・ボーイズがどんちゃん騒ぎを繰り広げているような、ついでにエルトン・ジョンがひっきりなしにピアノを鳴らし、モトリー・クルーが酒を注いでいるような、そんな感じだ。ローファイな「パンク的」価値観に一切頼らず、よくできた楽曲のもつパワーと1ケースぶんのビールを全面的に信頼するという、どこまでも過激なロックが、水で割られることもなく12トラックにわたって展開する。大笑いのファースト・シングル「Party Hard」はそんな過激主義を高らかに宣言しているが、それだけに終わるアルバムでは到底ない。ロック・オペラ風の「Ready to Die」、デカダンスの味がある「Party 'til You Puke」、とどめに声高く呼びかけてくる「Don't Stop Living in the Red」――ロックならではの潔さをみなぎらせた、バカバカしくもケッサクなチューンがそろっている。エミネムよ、席をゆずるがいい。誰だってホワイト・トラッシュ・ヒーローになれるのだ。『I Get Wet』で挑戦者アンドリューW.K.があげた怒声は、彼のパーティーに負けない激しさだ。(Louis Pattison, Amazon.co.uk)