アップ・フォー・イット
価格: ¥2,800
2002年7月、フランスのアンティーブ・ジャズ祭におけるライヴ録音。2000年の『インサイド・アウト』、2001年の『オールウェイズ・レット・ミー・ゴー』と、スタンダーズ・トリオの近作はグループ名と違ってフリー・インプロヴィゼーション物が2作続いけど、これは本来のスタイルによるスタンダード曲集。これまでのアルバムでもやっていた得意のレパートリーがずらりと並んでいて、いかにおなじみのスタンダードを斬新(ざんしん)にプレイするかという、古くて新しい課題に真正面から取り組んでいる。スタンダードを演奏する場合、原曲の持つ味わいを殺してはいけない。かといって、誰がやっているのかわからないような演奏では意味がない。そこらあたりが厄介な問題なのだが、キースのトリオはそうした難題をいとも簡単にクリアしている。3者の緊密なインタープレイがなんといっても最大の聴きもの。選曲面ではジョン・ルイスの<6>をやっているのがま新しい。そして目玉曲<7>は後半のオリジナルが最高にスリリングだ。(市川正二)