本作は、前2作の実験的な精神を引き継ぎながらも、楽曲とアレンジはさらに磨きあげられ、フガジの自信と情熱を小気味よく感じさせてくれる。本作がこれまでで最もスケールの大きいアルバムなのは確かで、サポートメンバーには、ブリジット・クロス（アンレスト、エアー・マイアミ）、キャシー・ウィルコックス（ビキニ・キル）、エイミー・ドミンゲス（Ida）、音響係のジェリー・ブッシャーが名を連ねている。そして、今回もまた優れたポップセンスが発揮されている。タイトル曲と「Life and Limb」はこれまでになく微妙な陰影をもつトラックで、張りつめたギターとささやくようなボーカルが静かな緊張感を生みだしている。ガイ・ピシャオットーの野獣のような雄たけびで始まる「Full Disclosure」といったトラックでさえ、柔らかなハーモニーで終わっている。その一方、「Ex-Spectator」「Epic Problem」などのトラックは、その激情を少しも損なうことなく、バンドの核である攻撃性を広げている。その鍵となるのがブレンダン・キャンティーの複雑かつ堅実なドラミングで、ギターの音が入る前からすでに怪物的なフックを叩きだしている。（Mike Appelstein, Amazon.co.uk）