臨床家の薬籠には何がはいっているのか。真珠のような本。
★★★★★
1993年初版、1998年2版、2005年3版。
私は初版の『本書のねらい−序にかえて』が大好きだ。
緋色の研究で語っているシャーロック・ホームスの言葉を引用している。
「人間の頭脳などというものは、もともと小さな空っぽの屋根裏部屋のようなもので、自分の好きな道具だけをしまっておくようにできてるんです。」
凡人が自己薬籠中の薬は限りがある。臨床家がすることは他にも色々ありすぎる。
これを原則として精選した100の薬。2版に比して、いささか変更されている。
しかし、100に限定。
これでも多すぎるのではないかと編者たちは考えている。
今回つけられた付録、『P-drugs(パーソナルドラッグ)の概念と選択』は、編者たちの思考をWHOが肯定したことを示している。
製薬資本に振り回され、多種混合併用に違和感を感じぬ医師達の処方を観て困惑されること多し。
この医師は何を根幹において相手の現状をとらえ、戦略をたてているのか不明。
医師は自己の薬籠の薬を確かめる必要を感じる。臨床家必読。