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私の看護ノート

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 医学書院
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「あなたの声を聞きたい」から「私の声が聞こえますか」へ ★★★★☆
 この本は、植物人間状態に陥った患者の回復への取り組みを紹介した、2009年春放送のNHKのドキュメンタリー「私の声が聞こえますか」の中で、その取り組みが紹介されていた筑波大学名誉教授紙屋克子氏が、若き(失礼!)看護師(当時は看護婦)時代に書かれた、医療の世界において看護師が果たす役割をめぐって、看護という仕事の固有の領域、専門性を追究された初期のころの著作である。

 その取り組みは、かつて「あなたの声が聞きたい」という、おなじNHKのドキュメンタリーで紹介され、大きな評価を受けたものであった。それが、10数年を経て、そのほかのさまざまな治療方法などと併せて、いま再び紹介されたのだが、驚いたことは、ドキュメンタリーの視点が、看護師など、患者に働きかける側から、患者自身に転換されていることだ。
 
 これは、ドキュメンタリー製作者の側に大きな転回があったということなのだろうが、そこには重要なことが示唆されている。植物状態に陥った患者も、実は、声にならない声を本来発し続けようとしていたのである、ということと理解した。厚い壁の向こうから、患者の声は発し続けられていたのだということであろう。そこに患者主体、の視点を感じる。
 植物状態に陥った患者の中であっても、働きかけによっては、回復の余地がある、「お帰り、待っていましたよ」と、その帰還を喜ぶ日が来ることもあるということである。紙屋氏は、長年にわたって、看護の現場で、そのことを実感され、実践を通じて取り組んでこられた方である。

 このドキュメンタリーに改めて感銘を受け、紙屋名誉教授の原点を訪ねる意味で、この著作をお勧めしたい。