ミステリーの漫画を読んだのは初めてでしたが、こんなに楽しめると思っていませんでした。

この作品は、上野谷中が舞台というだけあって、下町の人情的な構図も上手く描かれているように思います。
カップリングの「鏡の女」も、せつなく、ゾクっとさせられました。

えぐちゆう先生の作画も、これまでの（アニメキャラ的な）感じと違い、シリアスに描かれ、内容に合っていて、
ステキな浅見光彦でした。えぐち先生のこれまでの絵も好きですが、私はこの"えぐち浅見"好きです。

この作品はずいぶん肩の力が抜けているなぁって思います。
浅見光彦シリーズの中でもかなり軽めの作品になっているのではないでしょうか。
旅行に行くときに１冊持っていく･･･って感じの読み方ができます。

ヒロイン？のモデルが分かりすぎてしまうのがマイナス。
オチも今ひとつですね。
近所過ぎて興が乗らなかったんでしょうかね？

浅見光彦が上野の不忍池殺人事件の容疑者された青年から助けたほしいという手紙をもらった時に助けに行ってやらず、その青年が死んでしまってからやっと腰を挙げたのには、もっと早く助けに行ってあげればいいのにとちょっとがっかりした。だが、喫茶店のマスターにプライバシーの侵害だと攻められて浅見光彦が涙ぐんでしまうところは、一見の価値あり。マスターも言い過ぎたと慌てて、自分たちの過去をしゃべってしまうところになんとなく浅見光彦のすごさを見たような気がした。