Fire and Water
価格: ¥818
ソウル、ブルースからの影響を前面に押し出したロック、といえば、ブリティッシュ・ロックの基本的な特徴のひとつだが、このスタイルをおそらく最初に完成させたのがFreeだと思う。そして、70年に発表された本作こそ、彼らの音楽性がもっともわかりやすく表現された作品といえるだろう。
タイトに飛び跳ねるビートを叩き出すサイモン・カーク、オーセンティクなブルース・センスをまといながら独創性あふれるベース・ラインを奏でるアンディー・フレーザーから構成されるリズム・セクションがまず、強烈な印象を残す。ブルースの白人的解釈という小手先の方法論に頼らず、黒人音楽のリズム感をほぼ完璧に取り入れることに成功した本作は、80年代以降のUKバンド(THE JAM、OCEAN CLOUR SCEANなど)にも大きな影響を与えている。
また、ポール・ロジャースのソウルフルなボーカル、ポール・コゾフのグルーヴしまくるギター・リフも本作の大きな魅力となっている。要するに才能あふれる4人のプレイヤーの技術とセンスがガッチリと一体化しているわけだが、当時、彼らが20才そこそこだったという事実には本当に驚かされる。(森 朋之)