ひめゆりの塔 [DVD]
価格: ¥4,725
太平洋戦争の末期、米軍の沖縄侵攻に際し、島の人間は日本軍に従事することに。女学生たちで結成された看護部隊「ひめゆり部隊」もまた軍と行動を共にすることで、壮絶な悲劇の道を歩んでいく。名匠・今井正監督が沖縄に散った乙女たちの悲劇を通して戦争への怒りを激しく訴えた反戦映画の代表作。このモチーフは以後も映画化され続けているが、戦後間もない時期、沖縄ロケも不可能な中で製作されたモノクロ・スタンダードの本作がもっとも優れた出来栄えを示しているのは、やはり当時の空気を知るスタッフとキャストのひとりひとりがリアルな仕事を見事ものとしているからでもあろう。セミ・ドキュメンタリー・タッチの演出も大いに功を奏している。映画のはじめでは少女たちに好もしかった職業軍人が、やがて狂気を帯びていく構図などぞっとするものがある。兵士ではなく民間人、しかも戦争による少女たちの犠牲を初めて国内に広く知らしめた作品でもあり、初公開時は記録的な大ヒットとなった。(増當竜也)