組織に逆らって以来、長いあいだデスクワークを命じられていたラップはようやく現場に戻る。彼は奇襲隊とともにアフガニスタンのアルカイダ要塞に突入し、そこで爆弾持ち込みの計画を知る。サウスカロライナ州チャールストンに核兵器が持ち込まれると、米特殊部隊は瞬時に敵を取り押さえ、武装を解除する。本シリーズの勇敢な大統領ロバート・ヘイズをはじめ、誰もが作戦の成功に拍手喝采するが、ラップだけはまだ安心していない。彼の考えでは、アルカイダのリーダー、ムスタファ・アル・ヤマニがすでに第2の核を密輸しており、戦没将兵記念日(メモリアルデー)の式典開催中にワシントンD.C.を爆破しようと目論んでいるのだ。ラップはがむしゃらにアル・ヤマニの臭跡を追う。生来の資質と訓練によって非情のテロリストハンターとなった彼だが、本作ではその非情さがさらに数ランクアップする。
優柔不断な閣僚や出世主義者、口汚いテロリスト、セックスを武器にする高慢な女たち――緊張感を維持する小道具として、フリンは臆面もなくいつもと同じ人物群を登場させている。とはいえ、プロットを収束させる技は巧みで、特に核が持ち込まれたときのパニックの描写は秀逸。素材に新鮮味がないが、フリンの広がりつつあるファン層はそんなことなど気にもかけないだろう。
Copyright © Reed Business Information, a division of Reed Elsevier Inc. All rights reserved.