否定できない事実――本作『Jimi Plays Berkeley』は『The Last Waltz』ではない。一見して、ピーター・ピラフィアンの演出とカメラワークは、スコセッシ監督の傑作ロック映画と比べると学生映画みたいに見える。ジミのマネージャーを務めていたマイケル・ジェフリーは、ファンに感謝して公演を有終の美で飾る代わりに、三流映画を制作した。その目的はただひとつ、働き過ぎのギタリストから搾れるだけのカネを搾り取ることだ。ドキュメンタリー部分の映像は安っぽく、登場する抗議団体は頭が悪そうで、楽曲は切り刻まれ（「Hear My Train A Comin'」が文字どおり真っ二つに!）、画面は顔のアップになると必ずグラグラ揺れるという始末だが、にもかかわらず『Jimi Plays Berkeley』は素晴らしい。なぜか？ ジミのパフォーマンスが見事だからだ。ドラムスにミッチ・ミッチェル、ベースにビリー・コックスを迎えての演奏である。このバンドとしてはもっとも音質のよいライブだが、エディ・クレイマーによるDVD用の5.1chサラウンド・リミックスは、かつてない水準にまでサウンドを引き上げた。加えて、このDVDには、『Jimi Plays Berkeley: 2nd Set』の音声がノー・カットで収められている。つまり、録音として残っているジミのライブ中ベストと言われる演奏を聴けるのだ。これはもう、完ぺきの一語である。（Rob Bracco, Amazon.com）