筆者の分析の目はとても鋭い。トウェインの『ハックルベリーフィンの冒険』やギャング団、家族との結びつきなどの点から考察が行われており、十分な説得力と、興味深い観点をもって編まれている。またメディアの悪い側面だけでなく、良い側面にも目を向けているあたりさすがである。
オルテガ『大衆の反逆』でも同様な事が述べられている項があり、参考になる。大衆は自由という言葉に酔い、メディアなどの規制の無い世界から知らぬ間に抜け出せなくなっている。いくらメディアの欠点を述べてみた所で、もはや生活と切り離す事は不可能であろう。従って今後の課題はどのように共存してゆくか、という事であろうと思うが、そのためにはもはや社会の体制の手の及ばぬ所であるように思われる。
現代に生活する人ならば、少なくともどこか一箇所くらいは共感する箇所があると思うので、ぜひ情報教育などに興味がある方は、一読をお勧めします。優れた著作だと思います。
その中で人間にとって何か大事なものがごっそり抜け落ちている
ことに気づき、それに衝撃を受ける。
本書はそういう本である。
物語や口承文化を失うことや活字離れが人類にとってなぜ危険なのか、
本書は淡々とした語り口で語る。ある意味怖い本である。
しかし口承文学における定型句の重要性や
ヘブライ語の文書において母音が記されなかったことの意味など
今まで知らなかったことが多くあり、興味深かった。