ジャズ・ヴォーカリスト、コニー・エヴィンソンのこれまでのキャリアでもっとも楽しいアルバムだ。取り上げているのはすべてレノン&マッカートニーのビートルズ・ナンバー。けれども、“赤盤”(『1962-1966』)、“青盤”(『1967-1970』)収録の定番ナンバーよりも、「The Night Before」「For No One」(2曲ともピアノの華麗な伴奏が聴ける)といったナンバーに意欲的に取り組み、それがまちがいなくアルバムの成功に一役買っている。
エヴィンソンは完全にリラックスしていると見え、「From Me to You」では優しくスウィングし、「Fixing a Hole」ではファンキーなグルーヴを作り出している。また、遊び心たっぷりの楽器編成でも楽しませてくれる。「Blackbird」ではシタールを用いているし、バンドネオンを奏でる心地よい「When I'm 64」は、タンゴとロマンスに満ちた楽しい老後を予感しているかのようだ。(David Horiuchi, Amazon.com)