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風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF 399)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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”アーシュラ・K・ル・グィン”という大長篇を垣間見る。 ★★★★☆
10年間に書いたものをほぼ発表順に収録した短編集。
17編も収録されており、読みごたえはかなりある。
解説が非常に的を射ていて、
『これらが何の説明・先入観もなく雑誌に載ったとしたら
はっきりいって、文句のない完結性を備えた短篇はほんの数篇』
だが
『各短篇が”アーシュラ・K・ル・グィン”という大長篇の部分を切り取った』
ものであるという表現が適切。

正直、彼女の世界観がとても好きな自分でさえ
受け付けられない部分や、理解し辛い部分があった。
短編としてその作品だけ読むには表現しきれておらず不完全な物が幾編かある。
ただ、こうしてまとめて読むことで多少なりともそれが緩和され、
ル・グィンという世界の空気感を味わうことが出来る。

個人的にはゲドの2巻の、あの陰鬱とした暗く混沌とした、
それでいてどこか美麗さを感じるあの雰囲気を
増幅したように感じる文章だった。
ファンタジーとしてとても素晴らしいし、発想もまた秀逸。

私は、『冬の王』『九つのいのち』『帝国よりも大きくゆるやかに』
が特に好きだった。

冬の王では、退位させること・させないことのどちらが陰謀なのか
どちらとも考えられることに気付いたとき、さりげない空恐ろしさを感じた。
帝国〜ではエンパスの描き方に興味を恐怖を掻き立てられた。

クローン実験について一家言あるつもりの自分は
九つのいのちの
「君は自分にむかって、おやすみを言うか?」
という言葉が胸に突き刺さった。
かけがえのない作品集 ★★★★★
この本の内容は がんばれ、テリー・ギリアム氏がレビューに乗せておいでなので,改めて紹介の必要はない.Hainish Universe 関係では, Rocannon's World にそのまま利用された Semley's Necklace, The Left Hand of Darkness の予行演習のような Winter's King, The DispossessedのユートピアのOdonians と Christian の意識の差をキリスト教への風刺として描いたThe Ones who walk away from Omeres (力作), Odo の晩年を描いた The Day before the Revolution など,掛替えのない名作が読める.ただし,翻訳の水準は様々で,九つの命 では,クローン人間のミドルネームが Hebrew Alphabet の文字名になっていることに訳者は気付いていないなど,呆れることもある.    
ル・グィンの74年以前の年代順傑作短編集 ★★★★★
「この短編集は、画家なら回顧展と呼ぶものにあたるだろう...最初の10年間に書いた短編を、おおむね発表順に並べたものである」(本書「前書き」より) この意味で、ル・グィンのSF世界観を知るにはうってつけの短編集になっています。

収録作は
2.「4月は巴里」3.「マスターズ」4.「暗闇の箱」(1962)
1.「セリムの首飾り」5.「解放の呪文」6.「名前の掟」(1964)

7.「冬の王」9.「九つのいのち」(7,9共にヒューゴー賞候補、1969)
8.「グッド・トリップ」10.「もの」11.「記憶への旅」(1970)
12.「帝国よりも大きくゆるやかに」(ヒューゴー賞候補、1971)
14.「視野」15.「相対性」16.「オメラスから歩み去る人々」(16はヒューゴー賞受賞、1973)
13.「地底の星」17.「革命前夜」(17はネビュラ賞受賞・ヒューゴー賞候補、1974)
!!の17編です。

74年以後の短編は『オルニシア国物語』に収録されていますので、そちらもあわせて読まれるとよいでしょう。

最新版が届きました。 ★★★★★
今年の春だったと思いますが、ハヤカワの復刻フェアのタイトルに入っていて 一部の書店で販売されていたものと同じでした。 ですので表紙のデザインは異なります。 私としては文庫本は新しい方が字体も読みやすくありがたかったです。