約1年半ぶりとなる3枚目のアルバムで、同時発売の「空気」を含めた6枚のシングル曲を収録している。愛内里菜は、ZARDや浜崎あゆみらの系譜に連なる、時代性をもった正統派ポップスを歌える歌手。本作では冒頭の2曲などでデジタル・ビートのダンサブルなアプローチもあるが、全体としてはスローなバラードが多く、その方が彼女の歌唱力がよく生かされている。
やはり彼女の魅力とは、クリスタルな声でやや生真面目なくらいに真摯に歌い上げる、ストレートなヴォーカルにある。特に終盤、「profuse love」「Fortune」の連発バラードでのスケール豊かな歌唱はなかなか聴かせる。自作の歌詞におけるポジティヴに徹した世界観も含め、独自性を強く打ち出した1枚だ。(小山 守)