2世議員や2世俳優同様、ミュージシャンの親子というのはけっしてめずらしくはないけれど、世代が違うので一緒に活動することはあまりない。ところがオランダのハンス＆キャンディのダルファー親子はともにサックス奏者で、双頭リーダー作まで作ってしまったから、これにはビックリだ。ラップやスクラッチ・ノイズをまじえたテクノ・ファンキー・サウンドをバックに、親父がテナー・サックスでブロウすれば、娘は泣きのアルト・サックスで対抗するという具合に、親子というより、あくまでもサックス奏者同士の熱い共演を繰り広げている点が印象的だ。ユニゾンはバッチリきまっているし、各人をフィーチャーしたソロ・トラックも入っている。サウンド的にはヒップホップ感覚満点のクラブ系ダンス・ミュージックということになるが、<8>はちょっと雰囲気が違っていて、キャンディの叙情的なアルト・ソロを全面的にフィーチャーした哀愁的なナンバー。キャンディがめずらしく一部、バリトン・サックスを吹いているのも話題だ。（市川正二）