グッドナイト&グッドラック 豪華版 [DVD]
価格: ¥7,140
ジョージ・クルーニーによるこの監督2作目は、彼の父親がテレビ業界にいたこともあって、念願の企画であった。1950年代、赤狩りによる共産主義排斥が進むアメリカで、その急先鋒に立つマッカーシー上院議員を訴えるニュース番組を作る苦闘をみつめた骨太ドラマ。実在のキャスター役、デビッド・ストラザーンの名演もさることながら、本作には監督クルーニーのセンスが光り、社会派のテーマであって、作家性の強いアートフィルムの香りも漂っている。
ポイントにジャズの名曲が流れ、タバコの煙などもスタイリッシュにとらえたモノクロ映像が美しい。ファッションの細部まで時代を再現するなど、あちこちで作り手の誠実さが伝わってくる。そして歴史の強烈な断面を、わずか90分にまとめあげた構成も賞賛に値するだろう。おもしろいのは、他者の不合理な行動を告発するテレビ局側も、内部に差別的な状況があったことを伝える脇筋のドラマ。ここにもクルーニーの客観的になろうとする見識が活きている。他人だけではなく、自分の欠点も見つめ直すべきなのだ。とにかく監督としてのクルーニーは、俳優としての彼より何倍もカッコいい!(斉藤博昭)