ミュージック・フロム・ムーラン・ルージュ2
価格: ¥2,548
映画『ムーラン・ルージュ』に関していえば、本当に、世の中にはふたとおりの人間しかいない。バズ・ラーマンの型破りなポストモダンのミュージカル劇にすっかりハマってしまう人とそれ以外の人だ。
意外にも、第1弾のサウンドトラック『ムーラン・ルージュ』は、「型破り」が信条のこの映画プロジェクトの中でもっとも型どおりの演出だったように思う。アルバムに参加したポップスターの名前ばかりが強調されて、このミュージカル本来の魅力がリスナーに伝わりにくくなっていた。
しかし、第2弾のサウンドトラックは、その点を十分にカバーして、オリジナルヴァージョンの「スパークリング・ダイアモンズ」<2>(ニコール・キッドマンが歌う"Diamonds Are a Girl's Best Friend"と"Material Girl"の豪華メドレー)、ジム・ブロードベント演じるジドラーとリチャード・ロクスボロウ演じるウースター公爵のおかしなデュエット「ライク・ア・ヴァージン」<6>、そしてオッフェンバッハの"Can Can"のパロディで、強烈な印象を残す「ザ・ピッチ」<4>も収録されている。
また、これらとは逆にしっとりとした曲を作り、派手に目立ちはしないが深い感動を与えてくれた作曲家クレイグ・アームストロングの努力にも、このアルバムは敬意を払っている。収録されている、美しいオーケストラ調になったエルトン・ジョンの「ユア・ソング」<8>やドラマチックにアレンジされたキッドマンとユアン・マクレガーのオリジナルバージョンのデュエット「カム・ホワット・メイ」<5>、そしてメロドラマ風短調になったクイーンの「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン」<9>などが彼の手がけた曲だ。
第1弾のサントラが、果敢に音楽ジャンルの壁を超えようとしたこの映画の挑戦を大きく宣伝したものだとすれば、第2弾はその実像と魂を赤裸々につづったものだといえるだろう。(Jerry McCulley, Amazon.com)