人間「高杉晋作」を等身大で描いた作品
★★★★☆
本になる前に、新聞の連載小説で読みました。
それまで書き手について全く知らず、別の作品の書評などをネットで調べるとあまり芳しくないことが書かれていたりもしたのですが、毎日、新聞の連載を読んでみると、ちゃんとした作品でした。仮名遣いも平易で、女性が書かれているせいか妻や愛人とのやりとりも多く、友人久坂や若き伊藤博文らとの会話など、「傑物」というより「人間」高杉晋作を描いていたと思います。早世する場面などはもらい泣きしそうでした。けっこういい作品でしたよ。本は買ってないので、単行本化に当たって追加削除が行われたかもしれないですね。
一言で言うなら双璧
★★★★★
最初から最後まで双璧満載の一冊です。
なんだかかみ合ってない会話しているけれど、それでも信頼し合い尊敬しあう二人には感動。
会話が面白くてたまりません。
久坂とだけでなく、市・桂・俊輔・父・若君・息子・・・それぞれの関わりにも注目です。
特に若君との信頼関係は素敵です・・・!父・小忠太、高杉の幼い息子とのささやかな会話も感動しました。
心理描写も人間らしい高杉に触れることが出来て好きでした。
茶番に見えるのが残念
★★☆☆☆
歴史小説と異なりいわゆるやおい系女性向けの本という知識がすでにあったので
そんなに驚かずに読めました。抵抗感はありましたが、それは嗜好なのでしかたないと思います。
ただ気になったのは、史実の部分ではなく、構成や書き方などが他の幕末小説と
多々酷似している点が見受けられたところでしょうか。
偶然似てしまったのかもしれませんが、読んでいて落ち着かなかったです。
過去の作品の複合体のようなのと、高杉晋作という傑物をかわいいキャラクター化
してしまったことで、すべてが茶番ぽく思え、本を読みつけている人間には少ししんどいです。
うちの夫は大学で史学を教えていますが、この本で疑問に思ったことを問い合わせたところ、
同じように首を傾げていました。最新の研究ということですが、それとは別に多少の
誤りもあるような気がしています。調べてみようと思います。
ついでのことですが、装幀をもう少しがんばってほしかったような気もします。
作り手の愛情のなさが、出てしまっているのが残念です。
高杉は勿論、久坂も。
★★★★★
醍醐味は会話。
高杉と久坂、高杉と市ィ、高杉と桂、高杉と周布、桂と市ィ、桂と俊輔しかも飯付き。
ここはもう秋山先生のお得意の言い回しを存分に楽しむべき。
台詞にいちいち含みがあって、妄想も簡単。
とりあえず、甘やかされッ子で傍若無人で情に脆くて感受性の強いスタンダードな高杉。
遊び好きで粋好きで。
「惚れたな」とか軽々しく口にされるとなかなかページが進みません。
久坂がかなり出張ってる前半はまさに小説って感じで楽しい。
親友同士の日常会話をこんなに見られるなんて…!
出張りと言えばやはり市ィ。
秋山先生ホント市ィ好きだな。隠れ高杉ファンな市ィが。
反比例して狂介はお気に召さないらしい。存在感薄い。
世子の定広がめっさ格好よくて仕え甲斐抜群そうだ。
敢えて言うなら聞多にもう少し出番を…!