共著者のデビッド・H・マイスターは、前著『プロフェッショナル・サービス・ファーム』でプロフェッショナル・サービス・ファームの運営ノウハウを説いたが、今回はその一部にして最大の問題である、プロフェッショナル人材のマネジメントを掘り下げて論じている。
本書の対象となる業種は、コンサルティングファームから弁護士事務所、会計事務所、ソフトウェア関連企業までさまざまだが、メンバーの大半がプロフェッショナルであるという点で、共通する部分は多い。業務を熟知し、自分を有能と信じて疑わないメンバーをどう扱うか、といった点は、おそらくすべての管理者に共通する悩みであろう。
本書では、こうした悩みを、個人のコーチング、チームのコーチング、会議の運営、採用、若手の育成、業績評価などの点から論じ、解決してくれる。具体的事例に乏しいのは残念なところだが、悩み多き管理職にとっては、福音の書となるに違いない。また、メンバーの仕事スタイルを4つのタイプに分けて論じるなど、ところどころに興味深いアプローチ方法も見られる。コンサルタントや有資格者、プログラマー、セールスパーソンなど、プロフェッショナルの人材管理に悩む管理職におすすめしたい。(土井英司)