ユダヤ教の真髄を見事に美しくとらえた本、名訳
★★★★★
ヘッシェルのGod In Search of Manの日本語訳。英語版も参照しつつ読んだが、ユダヤ教や哲学・宗教用語をうまくつかいこなしつつ、しかも平易に読みやすい訳文の見事さに打たれる。ハシドゥートでもあったヘッシェルは、ハラハーとアガダー、律法の遵守と信仰、神秘、精神と行動の両方が大切であると説く。全体を貫く、神への愛と喜びをもってミツヴァーを行うことの強調が、力強い中心旋律のように、何度読み返してページを繰っても、幸せな気持ちにさせてくれる。さまざまな慣習、伝統についての知識だけにとどまらず、精神的、哲学的、そして魂に刻まれた意味でのユダヤ教とは何かを知るに絶好の書である。