Love in Stereo
価格: ¥1,088
ラサーン・パターソンの『Love in Stereo』は99年にリリースされたR&B作品の中で最高にエキサイティングなアルバムながら、注目度も一番低かった。多才なパターソンが全12曲を作詞、プロデュースして歌っている、これほど歓喜と自信に満ちてソウルフルなこと間違いなしのこのアルバムが、彼のヒット作トップ10にも入らないというのはどうしたことだろうか。忘れようのないツカミと素晴らしいメロディ、甘くこってりしたグルーヴを満載したパターソンの2作目は、過去へ敬意を払っている。つまりスティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハサウェイ、カーティス・メイフィールドらが活躍した栄光の70年代アルバムに対してだ。とは言え、ニューヨーク生まれのパターソンの澄み切ったテノールはファンキーでありながら瞑想的で、完全に独自のサウンドとなっている。パターソンはゴスペルのスタイル(The Day)やアース・ウィンド・アンド・ファイアー風のホーン主体のファンク(Any Other Love)を混ぜ合わせたり、政治に対して一言述べたり(Treat You Like A Queenではドメスティック・バイオレンスについて語っている)するかと思えば、今日の単調なR&Bの活動の場には痛々しいほどに欠けている感想を伝えてもいる。つまり純粋な音楽性の向上だ。 --Sylvia W. Chan