今回、レイクウォンは再びノリのいい出足を見せる。それも、RZAがおらず、力強いストリート宣言を裏で支えてくれるような他の敏腕プロデューサーもいないという状況でだ。「All Over Again」は、ビートが抑えられているにもかかわらず、きわめて魅力あるトラックとなっている。それは、未来のハスラー兼MCたちが立ち直ろうとするときに目指すべき姿が提示されているからだろう。また、「Missing Watch」では、レイクウォンとウータン・クランの仲間であるゴーストフェイスのライムの応酬に、いつもどおりの冴えが見られる。
悲しいことに、その他大勢のゲスト・ラッパーにはゴーストフェイスほどの精彩がない。それに、なぜレイクウォンはみずからが10年近く前に普及させたマフィア的な題材を今になっても取り上げようとするのか、誰もが不思議に思うことだろう。さらに言えば、「Robbery」や「Wyld In Da Club」といったトラックは、世に言う「ポッセ・カットの法則」――大物ラッパーを集めても、街頭宣伝や警備の集団よろしく騒々しいだけで、コラボレーションにはならない――をくつがえすほどの出来ではない。レイクウォンの造語センスは相変わらずおもしろいが、他のウータンのメンバーたちと同様に、彼もウータン人気に安住しすぎてしまったと思えてならない。(Dalton Higgins, Amazon.com)