女友だちの初体験の相手になってと頼み、立ち合うなじみの客。3000万円を支度金に渡し、16歳年下のホストと結婚する女社長。浮気をして帰るとさまざまなチェックをして、必ず見破るホストの彼女たち。「何年この仕事をしていても、女って生き物はわからない。ますますわからなくなる」。そう語る著者は、女たちの体当たりを広い度量で受けとめて、右へ左へとかわしていく。それでも、夜明け前に仕事を終えて、薄暗い街の家々にふと目をとめ、そこにあるひとつひとつの生活や自分の将来に思い及ぶこともあるという。
インターネットの巨大掲示板2ちゃんねるでのやり取りが編集者の目にとまり、第1弾『ホストの世界―真夜中への招待状』が世に出た。ふだんはなかなか知り得ないホスト業界の裏側を、現役のベテランホストが語るという話題性は十分だった。ここまで書いてしまったら、続編は書き得ないのではないか? 第2弾はそんな懸念をあっさり裏切って、良質な人間ドラマへと昇華されている。
最後の、結婚式の司会として収まった、新郎新婦との記念写真のエピソードは秀逸だ。女性はその女心に涙し、男性はその微妙さを知るだろう。(篠田なぎさ)