Late Registration
価格: ¥1,652
カニエが2枚目のスランプにつきあたることを期待していたアンチ・カニエ派には、残念な1枚。『Late Registration』は去年の『College Dropout』の斬新さを再生することはできないが、はるかに手間暇をかけて熟成させたアルバムである。歌詞の面ではカニエはわずかしか進歩していないが、音楽的には、本作では極上の音を出している。特に、共同プロデューサーのジョン・ブライオンの参加で、楽曲の完成度に磨きがかかっている。マルーン5のアダム・レヴィーンをフィーチャーした「Heard 'Em Say」そして「Hey Mama」はソウルフルで豊かな質感をたたえているし、火花が散るようなエッジのある「Crack Music」、キャムロンをフィーチャーした「Gone」はストリート志向のリスナーにアピールしそうだ。駄作も数曲ある。ブランディをフィーチャーした粘っこく甘ったるい「Bring Me Down」がその最たるものだが、アルバム自体の質は高い。とても、とても高い。要するに、カニエを中傷する人にとっては、彼の魅力に対する抵抗が揺らぐことはないだろうが、1作目からの支持者ならば報われるだけでなく、新しいファンを獲得できるじゅうぶんな魅力が、『Late Registration』にはある。