さよなら、さよならハリウッド [DVD]
価格: ¥3,990
ウディ・アレン監督作で、彼が自らをパロった監督役で主演。アカデミー賞2度受賞という過去の栄光にすがりつく映画監督という、かなり自虐的な役どころだ。再起をかけて新作を撮り始めた彼を襲うのは、原因不明の失明の危機。その事実を隠して新作を撮り続けるというのだから、爆笑&苦笑のギャグが満載というわけだ。『アニー・ホール』などアレンの初期作品を思わせるドタバタのノリを、久々に満喫できる作品でもある。
目が見えないまま仕上がった作品は、結局…という皮肉なラストに代表されるように、映画に対するアレンの、いい意味での軽い向き合い方が前面に出ている。要所での、現在の映画業界に対するチクリとした批判も効果的。確かに隆盛期の作品のような個性には欠けるのだが、肩の力を抜いて楽しめることは事実だ。目が見えないために、あちこちにぶつかり、相手に失明がばれないようにする会話術など、アレンの、名人芸ともいえるコメディ演技を観るだけでも価値アリ。年を重ねても、徹底的にダメ男を演じるアレン。そんな彼の演技が鼻につくという人には、本作はちょっと辛いかもしれないが…。(斉藤博昭)