この本の要約
★★★★★
この本の要約。
コロンビア大学のビジネススクールのエリック・ジョンソン教授曰く「可能性のある損失が大きければ大きいほど、人間はその損失を嫌う傾向がある。つまり、背負っているものが大きいほど、人間は不合理な決断に押し流されやすくなってしまう」
バリー・ストウとハ・ホアンという経済学者がNBAのドラフトで選ばれた選手の成績を調査した。過去5年間にドラフトでNBAに入団した271選手の全てのデータを、3つの異なる能力に分類した。得点力(1分あたりの得点数、フィールドゴールの確率、フリースローの確率)、タフさ(1分あたりのリバウンド数とブロック数)、敏捷性(びんしょうせい・動作の素早さ)(1分あたりのアシスト数とスチール数)である。その結果、選手の得点力と選手が実際にプレーする時間には関係性がみられた。しかし、他の2つの要素と実際にプレー時間は関係がみられなかった。結局、選手のプレー時間を決めるのは、選手の能力や怪我、トレードの状況という要因以上に、「ドラフトで選ばれた順位」であることがわかった。その他の要因を全て考慮しても、どのシーズンでも「ドラフトの順位が1つ下がると、平均23分ずつプレー時間が減っていた」。また、ドラフトで後に指名された選手ほどトレードに出されやすくなり、最終的なキャリアは短い。ドラフト1巡目で指名された選手は、2巡目の選手よりも平均で3.3年長くリーグに所属している。もちろん、選手がいったんチームに加わったら、監督はその選手が過去にドラフトで何位指名など関係ない。しかし、選手にとっては、「ドラフト何位」というラベルをいったん貼られると、その後の活躍の度合いが決まってしまうのである。
南アフリカで貸金業者が形式の違う4種類のダイレクトメールを5万人の顧客に送った。手紙の形式は、利子の違うもの(月利3.25%から7.75%まで)、競合他社との利子の比較を載せたもの、懸賞付きのもの(毎月10名に携帯電話が当る)、男性か女性のにっこりと笑った写真つきのものである。その結果、最初の3つの形式は、顧客の申し込みに大した変化はなかったが、笑顔の写真をつけたメールからは、他の3つよりも大きな影響があった。特に、女性の笑顔がついたメールを受け取った男性顧客は、笑顔の男性の写真がついたメールを受け取った男性顧客よりも、ローンを申し込む率が高かった。
人間とは自分が信じたい事柄に反する証拠を無視しようとする傾向がある。このため、いったん物事に価値観のラベルがつけられると、それを信じようとする心理になってしまう。
人間の脳の中では、快楽中枢と博愛中枢は同時に機能することができず、どちらか一方しか働くことができない。(例)1993年にスイス政府は、原子力発電の放射性廃棄物を地中に埋める引き受け先としてある町を選んだ。そこでその町の住民に聞いたところ、50.8%が引き受けに同意した。その後、同意者を増やそうと、引き受け後には住民1人につき4000フラン(約50万円)を毎年払うという条件をつけた。しかし、その後の住民の意識調査では、引き受けに同意する人は逆に24.6%に減ってしまった。つまり、無償で国のために犠牲になるという博愛的感覚によって引き受けに同意していた人が、お金という快楽的インセンティブによって影響されてしまったのである。
報酬を期待するときは、実際に報酬をもらうときよりも脳の快楽中枢を活性化することが科学的に分かっている。つまり、「子供がテストで100点取っておもちゃを買ってもらうと期待すること」と、「100点取った後に、実際におもちゃを買ってもらうこと」は別物である。
活用・応用のための本
★★★★★
んんん、このタイトルだと、購買系の行動心理学本のように思えてしまうので、残念な気がします。しかし、内容は濃いです。しかも、応用次第では悪魔の手法ともなり得ると思いました。
様々なエピソードや逸話や調査結果を並べた構成になっていますが、実はそれらが明かしている人間の行動様式は、明らかにされたからといって、人間が止められる種類のものではありません。営業や宣伝・広告やカウンセリングまで応用範囲がかなり広い本ですので、内容だけを求める人にはやや物足りなくても、現実になにかをしている人たちには極上のアイディア本であることは、間違いないでしょう。
なお、本書はそのように主張してはいませんが、これからニューロ・マーケティングを学ぼうとしている人は、まず、この本を読むべきだと思います。
翻訳文が悪いとは思いませんが、編集や校正を含め、もう少し読みやすい翻訳本とすることができたのではないかと思われるのが残念です。(草思社だったらよかったのに…。)
不合理な意思決定本
★★★☆☆
最近、心理学を応用した
行動経済学なるジャンルがブームでもあります。
こちらも、そのジャンル。
よって、事例にあがるものは他の書籍でも読んだ事があるもの。
ただ、こちらの書籍。
カバーデザインからの雰囲気通り
結構、色々な事例をねちっこく解説するのではなくさくさくっと展開するので読みやすい。
タイトルコピーで買いました。
★★☆☆☆
ん〜〜って感じです。
訴求したいポイントは十分に分かるのですが・・・
読んでいて面白みが無く、途中で読むのを止めたくなりました。
だから星2つ
正直、タイトルコピーで買ってしまいました。(残念)
心理の落とし穴
★★★★☆
いわゆる行動経済学の観点から、
意思決定での誤謬を指摘しています。
この手の本の中では一番文字が大きくて
読みやすいです。
実験も分かりやすく記述されていて
内容が把握しやすいです。
章ごとにまとめがあって、
一般人が理解しやすいように
なっています。