ちょい悪御家人未満の主人公に好感
★★★★★
上田秀人さんの文庫はいつも欠かさず読んでいますが、なんたって現在の競売裁判所にあたる闕所物(けっしょもの)奉行をモデルにした着想に敬服です。競売の取り分がもらえるはずなのに馴染みの入札業者に女を押しつけられてしまっている、ちょっと抜けた貧乏御家人の主人公榊扇太郎に好感を持てます。キャラとして小銭をねだる「ちょい悪御家人」でもいいのでしょうが、潔癖性でちょっと恥ずかしがり屋な感じは上田さん自身なのでしょうね。きっとそういった所に読者を惹きつけて放さないのではと思います。今後の展開に期待です。