ひみつというよりヒント?
★★★☆☆
怖い絵1・2・3を読んだあとだったので物足りなかったかな?詳しい内容というか感想は他のレビューをどうぞ。どっちかというと西洋絵画というものの鑑賞についてのヒントでした。本当に入門の入門という感じかな。イラスト満載でしかもカラーなので読みやすかったのは良かったですが、物足りなさが残った一冊でした。西洋絵画とはどういうものかというのが知りたい方にはいいかも知れませんね。
大雑把な切り口が◎
★★★★★
4つの秘密を通して、西洋絵画の歴史や系統を簡潔にまとめた本です。
個別の作品や作者にスポットをあてるのではなく、大きなくくりとわかり易いイラストで
絵画の変転をまとめているので、絵画に造詣が深くない私でも抵抗なく読めました。
そして、解説の中で「例えばこういう作品があるよ」といった軽い感じで、
著名な作品を紹介してくれるので、思わず「おぉ、確かに」と膝をうってしまいます。
簡潔な内容の割りにいろいろな「気づき」を与えてくれる本だと思います。
これから、絵画をみる視点が広がったような気がしました。
中高校生が西洋絵画鑑賞の手引きの端緒とするにはいいかも
★★★★★
「西洋絵画のひみつ」という刺激的なタイトルほどミステリアスな内容ではなく、西洋絵画を鑑賞する際のちょっとしたヒントを、大きく章立てして4つにわけていたってまじめに紹介している書です。
基本的には西洋絵画入門的な類書で述べられていることから大きく離れてはいません。
ですから、ごく初歩的な絵画鑑賞指南書に触れたことがないという読者向けの本といえるでしょう。
第1章はキリスト教美術を味わう上でのヒント。
キリスト教の絵画が、東方正教会で発達した平面的なイコン画と、西側のカトリックのもとで進んだ立体的なルネサンス画にどうして分岐したのか。キリスト教における偶像崇拝の考え方に即して大変分かりやすく論じてくれます。旧約聖書と新約聖書の違いなど基本的知識に立ち返って教えてくれるのも、初心者にはやさしい構成といえるでしょう。
第2章は、俗世から離れた事物を対象にする宗教絵画が、風俗画、風景画、そして静物画といった日常的な事柄を主題とする絵画へシフトしていった道のりとその背景について追っています。
第3章はヌード画の歴史を紹介しながら、裸体画が許された環境/許されなかった環境について平易に教えてくれます。
第4章では、絵画が芸術家がひとりで創造する作品という今日的な価値観を持つ以前は職人たちが工房で共同制作する商品だったという歴史や、絵画ビジネスについて論じています。この章は10頁も満たないわずかな紙数しか割かれていないので、少々喰い足りない思いは残りました。
なお、類書として以下の本を紹介しておきます。
西岡文彦「絶頂美術館」
池上英洋「恋する西洋美術史」
宮下規久朗「食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む」
木村 泰司「名画の言い分 数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」」
木村 泰司「巨匠たちの迷宮-名画の言い分」
まるっとわかる
★★★★★
絵を見るのは好きだけど、あんまり知識がない、○○派とかゴチャゴチャしてどうしても覚えられない、という人にオススメ。カバーだけだとこども向けみたいに見えますが、大人が読んでじゅうぶん深く楽しめる本です。
●西洋絵画をみるうえで、キホンの大事なこと。
→たとえば、「どうしてヌードが多い?」とか。キャラにそれぞれの持ち物があるとか。「なんで西洋画は立体的なのか?」とかもわかります。
●聖書やギリシャ・ローマ神話のエピソードなど、知っとくともっと絵画が楽しめること。
→聖書のパートが長いのですが、それ自体おもしろくて、聖書ってこんな理不尽なことも書いてあるのかと思いました。特に旧約。男児皆殺しとか、波乱万丈。はじめて聖書のエピソードの全体(つながり)が見渡せました。イラストがかわいい。
●よくある「画家別」「○○派別」ではなくて、その絵画を生みだすもとになった歴史や、キリスト教とかギリシャ神話の考え方がわかる。(とはいえ、そんなに難しくないです。)
→無味乾燥な知識じゃなくて、へぇ〜こういう流れがあったのか、と、血のかよった見方ができる。日本人と西洋人じゃ、だいぶ考え方とか違うし、歴史の中で絵も描かれてきたのに、そういうことを無視してこれまで絵を見ていたなと思いました。
今度から美術館では「制作年代」もチェックしようと思います。
この本を出発点にして、自分なりに絵画を見ていけるようになる本だと思います。
イラストも素敵だし、絵画が50点くらい、けっこう大きめに掲載されているのもいいです。