とはいえ、このデビューアルバムが傑作であることに違いはない。フェンダー・ローズのコードの刻みの上にかぶさるさまざまな電子音、豊かなストリングス、柔らかなトランペットの音色、そのアレンジ、すべてが十分に練られており、何よりもビンスとハーデイカーが作り出すけだるいグルーブとソフトで哀愁を帯びたメロディーが素晴らしい。夢心地なインスト曲「Give It Away」「Polaris」は特に秀逸。『Simple Things』の真の魅力は曲の良さにある。アンビエントなメロが美しく、特にオーストラリアのディーバ、シアのボーカルが魅力的な「Destiny」、胸を打つような「Distractions」では、彼らのポテンシャルの高さを痛感する。(Dan Gennoe, Amazon.com)