インディアン・ランナー [DVD]
価格: ¥1,480
オスカー俳優ショーン・ペンの初監督作品。ベトナム戦争から戻り、問題行動ばかり起こす弟と、彼を真っ当な仕事につかせたい警察官の兄の愛憎を軸に、親子のドラマや人種問題なども絡んでいく。やがて弟は取り返しのつかない事件を起こし…。
映画全体のヘビーだが静かなトーンは、ペンのその後の監督作『クロッシング・ガード』『プレッジ』の原点とも言える。現代のハリウッド映画を見慣れた観客には、妙な伏線やドラマチックな展開を期待させるが、そうならないところが本作の特質。兄弟間の屈折した心情というテーマを見据えつつ、あえて理解しやすいように描かないところが、ペンらしい。
兄役デイヴィッド・モースが、弟への愛とも怒りともとれる複雑な心境を演じ、弟のヴィゴ・モーテンセンは、一見、無邪気を装いながら、自分では制御できない悪を秘めた破滅型キャラを抑えた表情でみせる。ふたりの演技が、双方のキャラへの共感と反発を交互に引き起こすのだ。デニス・ホッパー、チャールズ・ブロンソンらベテラン脇役陣が短い登場シーンで、いぶし銀の存在感。(斉藤博昭)