2年8か月ぶりの新作。「ヤバイ。じっとしていられない」。しかも、「破壊へ向かう欲求じゃなく、このサウンドで世界の人と笑顔を交わしながら踊りたい」。そんな感じだ。相変わらずの、アフリカ象に体当たりされるような強力なGは健在なのだが、どこか結成したてのパンクバンドのような瑞々しさと、物理的にどんな周波数を持った音が、人体や気持ちに影響するかまで計算し尽くしたかのような周到さが共存している。
前2作でデジコア/ミクスチャーの極北を示したが、本作では人の体温を感じるサウンド・プロダクトが印象的。システム闘争をただ糾弾するだけのネガティヴなものでなく、この具体的な歓喜でもって現実を乗り越えていこうとする姿勢は、キャリア史上最も輝いている。(石角友香)