1838年の処女作『パンプキンムーンシャイン』以来、80冊以上もの絵本を描き続けている絵本作家、ターシャ・テューダーのポストカードブック。14冊の絵本の中から抜粋したイラストが、35枚収められている。初期の伸びやかで愛らしい作品から、落ち着いて熟した表現力が際立つ最近のものまで、さまざまな時代の作品が収められ、ターシャの絵本作家としての軌跡を凝縮したかのようである。また、日本では出版されていない絵本からのイラストも含まれているので、カードとして使うのはもちろん、愛蔵版としても1冊手元に置いておきたい。
特に目立った仕掛けなどはないシンプルな作りであるが、印刷の色みや紙の質など、ターシャの持ち味を生かす部分での心配りが感じられ、良質なものに仕上がっている。また、犬、猫、ウサギなどの動物をモチーフとしたイラストがたくさん出てくるので、ターシャファンならずとも、動物好きな人には、ぜひ手に取ってほしい。 (田村恵美)