ウェストコースト出身であることが以前とは違ってすばらしく魅力的なことではなくなり、ニューヨーク・シーンが復活し南部シーンが台頭する中で、ベテラン・ラッパー3人組のウェストトサイド・コネクションはこの3作目を完成させた。あの9月11日の事件と続いて巻き起こった偏執的な国家主義は、1996年の『Bow Down』以来となるこのアルバムを影ながらインスパイアしている――3人のギャングスタ的な姿勢にはおかしな時代錯誤もあり、とりわけアイス・キューブが「Call 911」で見せる正義の怒りに燃える態度は、『The Predator』時代の影をどこか引きずっていてように思える。
本作は、警戒レベル“赤”ほどの危険を感じさせないところもところどころあるが、WC、マック10、キューブがまくしたてる辛辣なラップはあいかわらずだ。「So Many Rappers in Love」ではR&Bとヒップホップをクロスオーバーさせるジャ・ルール一派をあざけり笑い、シングルとなった「Gangsta Nation」では抑えきれないエネルギーをぶつけている。たとえウェストコーストに日が沈みつつあろうとも、おとなしく夜を迎えることを拒否するウェストサイド・コネクションの姿を見るのはなんともうれしいかぎりだ。(Oliver Wang, Amazon.com)