本作『December』は、オリジナル・チューンも交えた構成となっている。「Don’t Need A Reindeer」は素晴らしく甘美なポップ・ソングの小品で、ジャスティン・ヘイワードが今でもヒットを狙える曲を書けることを証明するものだ。残りのトラックでは、大がかりなオーケストレーションが陰影を生み出している。その好例といえそうなのが、バッハの曲を彼らの手でアレンジし、歌詞を付けたという「In the Quiet of Christmas Morning」だ。この他、「In the Bleak Midwinter」、「When A Child Is Born」、「White Christmas」、そしてジョン・レノン & オノ・ヨーコの「Happy Xmas (War Is Over)」といった名曲が取り上げられている。
また、ジョン・ロッジが書き下ろしたメランコリックなチューンは、2003年の中東の恐ろしい状況について思いをめぐらせた内容で、楽しさという点では一段落ちるものの、クリスマス・ソングとしての体裁は保たれている。もちろん、ロッジはジョン・レノンではないし、『December』には粗さも目立つ。それでもムーディー・ブルースのファンなら、まるで忘れていた感情を思い出したときのような気持ちにさせられるだろう。(Martin Keller, Amazon.com)