宇宙には秘密がある。想像されたこともない異次元が隠されているかもしれない。並行宇宙、歪曲した幾何学、三次元の穴など、たくさんの驚くべき概念が、科学の天空を超えるかのように登場している。数年前に比べ、宇宙の本当の性質について、私たちはかなり確信を弱めている。これまで明らかになった物理学の法則が十分でないほどに、科学的発見が進歩してしまったということだろうか。これまではサイエンスフィクションの領域にとどまっていた理論を、受け入れなくてはならなくなるのだろうか。リサ・ランダールはすばらしい理論展開を見せ、科学の限界を押し広げながら、自然界が投げかけるもっとも根本的な疑問の数々に答えを出すべく努める。たとえば、全地球の重力場は、小さな磁石の引き付ける力に対してどうしてこんなに微力なのだろう。こうした一見解説不可能な疑問にせまるため、物理学者は新しい次元を仮定する。その存在が照明されれば、科学的知識に想像できないほどの貢献を果たすかもしれない。ランドールは、私たちが暮らしている宇宙を決定付ける、歪曲した、隠された次元の驚異的な世界に私たちを導きつつ、その存在をどのように証明できるかを説明し、まだ答えが得られていない質問を検討する。『Warped Passages』は20世紀初期の物理学上の発見の道筋をわくわくするような解説で振り返るとともに、今日の素粒子物理学やひも理論についての最先端の情報を紹介し、相対性、量子力学、重力に関する現在の議論を分かりやすく説明する。とても読みやすく、楽しくて理解しやすい文章で、リサ・ランドールは科学を覆う神秘のベールを取り除き、私たちが今ようやく知り始めている無数の世界の謎にせまる。