子どもだけに見せるのは惜しい作品であり、自分のために購入すべきである。アンナ・シュウエルの小説を見事に映像化しており、原作に忠実でありながら映画独自の世界を作り上げている。主人公である馬の視点からストーリーが語られ、美しいと同時に残酷でもあった時代や場所を回想している。ブラック・ビューティーは生涯で何人もの人手に渡るが、その中で辛い目に遭ったり、幸福な環境に置かれたりする。優しい主人の場合もあるが、時には主人公が受ける苦難は、小さな子どもには観ていて辛すぎると感じるかも知れない。残念なのは、数年後に同じように動物を題材にして製作した映画『バディ』では、キャロライン・トンプソン監督は、本作品で駆使したような魔法的手法を復活させていないことである。（Rochelle O’Gorman）