ポップアートの第一人者として名声と栄光を手にする前、アンディ・ウォーホルは、女性誌のイラストを描いたりデパートのウィンドウや広告をデザインする、売れっ子の商業デザイナーだった。ティファニー社もウォーホルの顧客のひとつで、彼は同社のために一連のホリデー・グリーティングカードを作った。本書は、彼がティファニーのクリスマスカード向けに制作した独特のスケッチや絵を紹介する、魅力あふれるギフトブックである。

   生き生きした天使や曲芸師、スイカを食べるトナカイ、しっぽにオーナメントをぶら下げたお茶目なサル、金の浮き出し加工のキリスト生誕図、ヒイラギを詰めた赤いハイヒールのショートブーツ、プレゼントをどっさり積んだサンタのそりなど、モノクロとカラーのイラスト50点を収録。序文では、ティファニーのアートディレクターを務める著者ジョン・ローリングが、楽しいエピソードやウォーホルをよく知る人々のコメントを紹介しながら、ウォーホルと有名な高級宝飾品店との仕事上の関係について語っている。随所に散りばめられたクリスマスにまつわるウォーホール自身の名言は、甘口の皮肉が利いたこのコレクションの魅力をいっそう引き立てている。