これは、“実のある”内容の映像作品だ。アーティストの好き嫌いにかかわらず、買って損をしたと思う人はいないだろう。デビューからの10年間をまとめた、たっぷり1時間以上の音楽の部分（ミュージック・ビデオ17曲と別ヴァージョン4曲）と、たくさんのライヴ映像（34分間で9曲のコンサート演奏を含む）、26分のドキュメンタリー、そしてDVD-ROMまでもついている。メロディアスでハーモニーが重なり（「ドリームス」「オード・トゥ・マイ・ファミリー」）、パワフルで激しく（「ゾンビ」）、時にはそのどちらの要素ももつ（「ディス・イズ・ザ・デイ」）、このグループの音楽の良さはもちろんだが、なんといってもシンガーでメイン・ソングライターのドロレス・オリオーダンの存在がこの内容を魅力的なものにしている。さまざまな監督たちの手がけたミュージックビデオはすべて観る価値十分で、中にはかなり素晴らしい出来のものも。2000年に彼らの故郷アイルランドで行われたコンサートの出来が多少悪いとしても、このクランベリーズのビデオには誰しもの喉の渇きを潤すのに十分なジュースがまだたっぷり入っているのだ。（Sam Graham, Amazon.com）