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妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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人間の心って「壊れやすい側面」と「しなやかな側面」の両方があるのかも。 ★★★★★
脳神経科医が実際に診察した24人の奇妙な患者に関するエッセイ集です(全24篇)。脳(or 神経)に異常を来した結果、通常の人なら把握できるモノ・コトが全く把握できない患者たち。そのことに気付いて思い悩む患者もいれば、気付けない患者もいます(→ 自分の意識レベルは自分では分からない訳ですね)。脳・神経の状態にいとも簡単に左右される人間の心は なんと壊れやすい(fragile)ものなのだろう、と思います。

しかし、著者の観察はそこで終わりません。どの患者も必死になって生きようとしていることに気付くわけです。ある機能の不全を他の機能が補償したり、或いは全く特異的な機能が発達したり、というケースが数多く紹介されています。そうして患者たちは(知ってか知らずか)"人間らしさ"を取り戻そうとしている訳です。こうして生き甲斐を発見した患者の脳内には豊かな心的風景が広がっているようです。その意味で、人間の心ってしなやかな(flexible)なものだなぁ、とも思います。

こうして見ると、人間の心もまた「動的平衡」(福岡伸一)のような存在なのだと思えてきます。(実際、本文でも「我々は無数の雑多な感覚の集積または集合体にほかならない。それらの感覚は信じがたい速さで次から次へと引きつがれ、動いて、変わって、流れていくのである」というヒュームの言葉が引用されています。この"流れ"が非常に緩やかで"淀んで"いれば、まさに福岡伸一流「動的平衡」の概念と重なります)

なお、第23章「双子の兄弟」(自閉症サヴァンが発揮する特異的な数字感覚)の記述はタメット著「ぼくには数字が風景に見える」(or 「ブレインマン [DVD] 」)を想起させます。実際に"サヴァン"の脳内では何が起きているのかをタメット氏本人が語っていますので、ご興味のある方はこちらもどうぞ。(常人の想像の域を超えます)
☆手元にずっとあります☆ ★★★★★
人間って凄い!と心から思った本です。
考え方も生き方も見守る人も それぞれがユニークです。
何度本の整理をしても 決して手元から 離さない本です。

まだ読んでいない人が うらやましい。
これから こんなに面白い本を読めるんだもの。
・・と言いつつ たまに読み返していて やはり面白いです。
★「私は現在についての記憶がないのです」★ ★★★★★
●映画『レナードの朝』のもとになった実話の本「めざめ」の著者による、脳神経障害と特異な症状持つ患者達の人として生きる姿の物語。
・喪失(からだのないクリスチーナ、他)
・過剰(キューピッド病、他)
・移行(皮をかぶった犬、他)
・純真(詩人レベッカ、他)
●本書は、『ヤナムラの才能を伸ばすために私がしたことは、彼の魂をわが魂とすることでした。教師は、美しく正直な知恵遅れの生徒を愛し、その清らかな世界をともに生きるべきなのです』というボーク博士の論文のことばで結ばれている。
これはまさに「24編の話のどの個所のどれを読んでもひたひたと伝わってくる患者への愛情は、彼のこの信念と決して無関係ではない」(訳者)。
・∀・)ふんふん「妻を帽子とまちがえた男」 ★★★★★
僕は医学部の学生です。
毎日病気について勉強しています。
頭は人並みです。
でもたまに忘れることがあります。
それは病気は人がなるものだということです。
毎日病気をパワーポイントの画面で習います。
次から次へと画面が変わります。
そこに人の気持ちは見つかりません。

妻と帽子を間違えた男。
この本は病気が人になるものでその人の人生の一部だということを気づかせてくれました。
何を当たり前のことを言ってるんだと思うかもしれませんが、悲しいかな患者さんに一切振れづに病気のことだけを習う医学生はこのような錯覚によく陥る。

この本には病気とともに悲しみがあった、病気とともに笑いがあった。
サックス先生の患者さんへの優しさもひしひしと伝わってきた。

来年からは臨床での実習になります。
その前にこの本に出合えて幸せです。

神経病学の分野の本ですが僕みたいに無味でカラカラな授業に飽きた学生は手にとってみてください。将来のあり方が少し見えてくると思いますよ。
脳の複雑さを改めて思い知らされる ★★★★★
側頭葉は記憶、頭頂葉は身体感覚…などのような、脳の機能分化という概念は非常にわかりやすいのであるが、本当にそれだけでは脳機能は説明できないと改めて気づかされる内容であった。
詳しくは本書をぜひ読んでいただきたいが、題名にあるように、人物の相貌と物体の弁別に障害を起こす「失認症」など、人間の脳が奇妙なのか、病気が奇妙なのかわからないが、こうも不思議な(という表現は患者に対して失礼に当たるかもしれないが)症状を呈するというのはどういったことなのであろうか。
神経外科の教科書をめくれば本書にあるような「興味深い」病気はたくさん紹介されているのだが、その患者が何を思い、そしてそこから何を感じ、「正常な」人間とはいかなる存在なのか、ということまでは語ってくれない。本書はそういった意味でも非常に意義深い臨床例を巧みな記述で記載しており、脳・人間について深く考えさせられる一冊になっていると思う。