『新スーパーマン』は、1993年度に放映されたドラマの中でもっともスウィートなヒット作であり、根強いファンの人気があったとはいえ、DVD発売については『デスパレートな妻たち』のテリー・ハッチャーの不死鳥のごときキャリアの再上昇に感謝すべきなのかもしれない。『新スーパーマン』は、コアなファンにとっては危険でいっぱいの作品だ。物語は、「スーパーマン」をロマンチック・コメディーとして作り直している。シリーズのクリエーターのひとりは、このシリーズを「基本的に、ブルース・ウィリスだけが飛べる『こちらブルームーン探偵社』」と評している。しかしこれは飛んだり跳ねたりの部分だけを誇張した言い方だ。クラーク・ケント(ディーン・ケイン)は、毒舌で抜け目のない、流行に敏感な若者としては描かれているわけではない。新しくメトロポリスにやって来た「デイリー・プラネット」紙の新人記者と、凄腕記者ロイス・レイン(ハッチャー)との間に生まれた感情は、デービッドとマディーほどセクシーではなく、また彼らのように辛らつなふざけあいをすることもない。しかし、『こちらブルームーン探偵社』と同様、2人の人物が惹かれあい、ついに結ばれるまでには数シーズンを要する。
このシーズンのドラマチックな盛り上がりは、「ルーサーの家の崩落」だが、その中心にはクラーク、ロイス、それに魅力的な悪役のレックス・ルーサー(ジョン・シーア)の三角関係がある。パイロット・エピソードでは、ルーサーを正義のもとに連れ出すことをスーパーマンが誓う(「ゲームを始めよう」とルーサーは答える)。さらに複雑なのが、スーパーマンがロイスをすっかり魅了してしまったことだ。でも、レックスがロイスにプロポーズし、ロイスがスーパーマンに愛を告白し、クラークもロイスへの愛を打ち明けるエピソード「Barbarians at the Planet」までは、ロイスとクラークはスーパーマンの定石をのんきに繰り返しているだけだ。「Pheremone, My Lovely」「You look a lot like Superman」で、「愛に飲まれた」ロイスは、「今まで気が付かなかった」と、めがねをかけたクラークに告げる。1990年代に比べて特殊効果は進歩しているが、新人から目覚しいキャリアアップを遂げたすぐれた主役たちのおかげで、『新スーパーマン』の鮮やかな魅力は失われていない。(Donald Liebenson, Amazon.com)