Mas Y Mas: The Los Lobos Box
価格: ¥4,976
『El Cancionero: Mas y Mas』は、1993年に出た2枚組『Just Another Band from East L.A.』と比べて、何が――総タイムとか、それに素晴らしいブックレットが付いている点もそうだが――グレード・アップしているのか、ロス・ロボスのファンは当然のことながら知りたいだろう。その答はちょっと長くなる。
ここに収められているのは、アルバムからのトラック(各スタジオ・アルバムからおよそ4~5曲ずつ採られている)、アウトテイク、デモ、ライヴ音源のほか、トリビュート・アルバム、サウンドトラック、サイド・プロジェクトからのセレクションだ。『Just Another Band~』の方に入っていなかった目玉トラックを挙げてみると、1983年発表の熱いロカビリー「We're Gonna Rock」、同じく熱気をはらんだ「Rip It Up」(87年のアルバム『La Bamba』からのアウトテイク)、リチャード・トンプソンの「Down Where the Drunkards Roll」(94年のトリビュート・アルバム『Beat the Retreat』より)、ビートルズをカヴァーしたライヴ・テイク「Tomorrow Never Knows」(93年のテレビジョン・トリビュートより)、「Route 90」(素朴なロボスが子どもたちのためにつくったアルバム『Papa's Dream』より)、それに97年のライヴ・ヴァージョンで、シェリル・クロウをゲスト・ボーカルに加えたマーヴィン・ゲイの「What's Goin' On」といったところ。これ以外にも盛りだくさんで、6作のサウンドトラックからの曲や、個人的に気に入っている「Alone in a Crowd」(『I Only Wrote This Song for You: A Tribute to Johnny Thunders』より)、ダグ・サームの「She's About a Mover」をカヴァーした96年の素晴らしいテイクもある。
これらの点を総合すると、『El Cancionero: Mas y Mas』をこの世を去ったアーティストに捧げられた大型CDボックスと同じカテゴリーに入れるわけにはいかない。これは、元気で活躍している間にキャリア全体が正当に評価されたアーティストのグループに属するものだ。(Andrew Bartlett, Amazon.com)