『Rich Dad's Guide to Investing』の教訓をまとめると、見識ある投資家にとってこの世はチャンスに満ちあふれている世界、ということになる。だが、この本の要点を見つけ出すには多少時間がかかる。若いキヨサキと金持ち父さんとの会話が本の大部分を占めているが、含蓄のある会話ばかりとはかぎらない。それでも注意深く読んでいけば得るものはある。たとえば、投資の基本ルールに関する部分の中ほどに、キヨサキの金持ち父さんが投資家教育をトイレのしつけにたとえている部分がある。「はじめは難しいけれどもやがては意識しなくなるもの」というわけだ。ただし、その示唆に富んだメタファーにたどり着くには、緩慢な会話を乗り越えねばならない。投資家としての心得を説く人物が、物書きとしてはいまひとつというのは少々残念だ。だが、終わりの方まで読んでいくと、そのまわりくどさも納得できるようになる。つまり、「金持ちは金のためには働かない、金を稼ぐために金は必要ない」ということを繰り返し読まされるうちに、しまいには、なるほど、と思えてくるのである。とは言っても、その考え方を応用するのは容易なこととは思えない。だが、『Rich Dad's Guide to Investing』は、実践するだけの英断を下せる人にとってはその考え方は価値があるのだ、と力説する。