身近な「あるある」といった例を紐解きながら、私たちの心と行動の「当然」がどうやって形成しているのかを、「カルチュラル・スタディ」でも、「複雑系」でもなく、「ここに王道あり」といった極めてオーソドックスな社会心理学のアプローチで明確にしていくさまは、ページを駆るごとに専門書に似つかわしくもないほどの心地よささえ感じるほどだ。
先端を自称するビジネスマンにとっても、ワン・トゥ・ワンだ、パーミッションだといった小手先のテクニックに走ることなく、時に基本に立ち返り、改めてリアリティのすごさに圧倒されることが重要であることを示してくれる一冊ではないだろうか。