本書は第1部でニッチ企業の定義づけや取材・研究方法を紹介し、第2部では取材結果として18にのぼる事例を掲載、第3部においてニッチ企業で成功する法則を分析している。なお、第2部は富士総合研究所発行の「月間φfai(ファイ)」に1998年から連載された「中小企業の『強さ』ここにあり!~市場を制す製品開発の極意」より18回分を抜粋し加筆修正したもので、第1部および第3部は書き下ろしである。
ユニークな商品を製造している零細企業がメディアで取り上げられることは少なくないが、ニッチ企業だけに絞り、継続的に取材・分析したものは希少である。ビジネススクールで使用している教材が扱っているのもほとんどがマスコミをにぎわせる大企業であり、著者が試行錯誤を重ね見本市に足を運んでつかんだ情報は貴重である。
「政府はベンチャー企業・中小企業育成に躍起となって財政援助を行っているが、零細企業に対する偏見をなくしニッチ企業が経済活動において果たす役割についての正しい知識を広めることも大切」という信念のもとに書かれた本書は、独立を考えている人のみならず、すべてのビジネスパーソンにおすすめ。(加島有理)