印象的なのは、「お金を増やすためにはお金がいる」「収入が少ないのでまだ投資を始められない」という見解を否定している点。毎日のコーヒーなど、ちょっとした贅沢に費やす「ラテ・マネー」を1日10ドル節約すれば、年利10%で運用した場合、34年間で100万ドルになるという驚くべき計算結果を示している。ごく普通の所得でも、豊かな人生を送ることができる、ということなのだ。
もちろん、本書は単なる「節約のすすめ」ではない。あくまで資産運用を念頭に置いたうえで、複利計算の恐ろしさを指摘している。ステップ8で示される「カップルがお金に関してやってしまう十の間違い」では、「30年の住宅ローンを組む」ことは間違いだと指摘する。
本書では、具体的な資産内容の見直し方や投資法、金融商品を選ぶ際のアドバイスまでが詳しく書かれている。「退職金のカゴを作る」「安心のカゴを築く」「夢のカゴを築く」など、目的別に資産運用のノウハウが示されている点が親切だ。ファンドの情報が若干古かったり、アメリカ寄りのトピックになったりしているのは翻訳書の欠点だが、適宜日本の情報を付記しているのでさほど問題はない。豊かな人生を送りたいと考える人におすすめだ。(土井英司)