学者の書いた本と思えない
★★★☆☆
退官した学者の書いた本……だが、全てが唐突。自らの生い立ちから始まり、話は中世に飛んだり、売春宿に飛んだり、古代の信仰に飛んだり、ものすごくとりとめない。単なるエッセイか??と思えるほど。筋道立てて論理的にある話題を分析・解析する本とは思えない。が、それぞれの章は面白く、文章も分かりやすく、頭の中に??を溢れさせてとりあえず読み進めることができてしまう。読みながら無理矢理引きずられる様な感覚がある。退官してなお、進行中の研究・思考をそのまま述べた本なのであろうか? 民俗誌という言葉から怪しげなカオス的雰囲気が漂ってくるなら、それをそのまま本にまとめたようなのがこれ。多種多様で雑多で俗っぽくて、田舎っぽくて、怪しげな神秘性を含むものをとにかく羅列して、学者自身の抱く印象・考えを片っ端から述べているだけに思われる。
……面白かったけど、わけ分からない。